薬膳の基本、中医学とは

中医学とは中国伝統医学のこと。春秋戦国時代に書かれたとされる最古の医学書『黄帝内経』を基盤として四千年という長い年月の経験を積み重ねて体系化されました。
中医学では病気の原因を局所的に診るのではなく、病気を身体全体、身体と心のバランスの歪みによって現れるものだと考え、自然哲学である『陰陽五行論』と中医学独特の理論である『五臓六腑』『気・血・水』を併せて健康状態を分析していきます。これらの考え方は、薬膳だけではなく中国思想全般に通じる考え方です。

中医学と西洋医学

西洋医学の特徴

頭痛には頭痛薬、便秘には便秘薬というように、病気を局所的に捉え身体の器官や組織を診て病名を特定し病因を分析、薬を処方します。西洋医学では薬物療法、手術療法、物理療法などで様々な病気の治療を行います。

中医学の特徴

人間は自然の一部として考えられ、自然を大宇宙、人間を小宇宙として捉えます。
人間の身体もそれぞれ独立して働いているのではなく、それぞれの器官は共同して働いていることから、身体を一つのまとまりとして捉え、季節や、その人の体質、症状を系統立てて分析し、治療法を見立てます。治療法や養生法としては、薬膳以外にも漢方、鍼灸、あんま、気功などがあります。
病気とは言えないけれど健康とも言えない状態や、本当の病気になる手前の状態を『未病』といいますが、中医学では本来人間の持つ自然治癒力や自己回復力を重視し、『未病』の状態のうちに不調を改善し予防するという考え方が基本となっています。

薬膳を知るうえで大事な中医学理論

『薬膳大全』(1987年)によると、薬膳とは、「中医学理論のもとに薬物と食物を配合し、調理加工し、病気の予防と治療に効果があり、健康の保持と増進に有効な美味しい食」とされています。
薬膳料理というと、「漢方薬を使った健康料理、身体にはよさそうだけど美味しくない」というイメージが強いかもしれませんが、実際は、生薬を使ったものだけではなく、日々私たちが食している穀物や野菜、肉、魚、乳製品など身近な食材で薬膳料理は作ることができます。
食材にはすべて性質があり、食べることで何らかの作用を体に与えます。
一人一人の体調や体質、症状にあった食材と調理方法で病気から体を守る。体内からの声を聞き、自分の体が必要としている食材を選んで調理し、食べる。これが薬膳の考え方です。
薬膳料理とそうでないレシピの大きな違い、それはそのレシピが中医学理論に基づいているか否か、ということ。生薬を使った料理でも、それが中医学理論に基づいていなければ薬膳とはいえません。薬膳料理の代表的な食材、例えば枸杞やナツメを使っているからといって薬膳料理だとはいえないのです。

 

薬膳とは

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